マーケティング活動を行っていく上で、事業をとりまくマーケティング環境の理解が欠かせません。
それには、外部環境と内部環境があり、外部環境にはマクロ環境とミクロ環境があります。
内部環境…事業体が直接コントロールできる要因
外部環境…事業体が直接コントロールできない要因
マクロ環境には、デモグラフィック環境、経済的環境、政治的影響、社会的影響、社会的・文化的影響、技術的影響があり、それをPESTと言ったりします。
このPESTは、PEST分析としてマクロ環境を分析する際によく用いられています。
●主なマクロ環境とその具体例
マクロ環境 | 具体例 |
デモグラフィック環境 | ・人口規模 ・所得 ・年齢構成 ・民族構成 |
経済的環境 | ・経済性両立 ・金利 ・個人貯蓄率 ・物価 |
政治的・法的環境 | ・独占禁止法 ・消費者保護法 ・規制緩和 |
技術的環境 | ・イノベーション ・コミュニケーション技術 |
自然環境 | ・天然資源 ・持続化可能性 ・自然災害 ・気候変動 |
社会的・文化的環境 | ・働き方の意識変化 ・女性の社会進出 |
デモグラフィック環境
人口や年齢構成など人々の属性を表します。少子高齢化や核家族化などの人口規模や世帯数の変化はBtoB企業、特にBtoC企業にとって機会や脅威をもたらします。
経済的環境
経済成長率、物価、金利の変動など経済指標を示します。
経済が成長すると消費者の所得水準が高まり、消費活動が活発になったり、金利が低いと消費者の買物行動が促進されたり、企業の設備投資が促進されたりと企業のマーケティング戦略に影響を与えます。
政治的・法的環境
行政や法律を示します。独占禁止法のように、公正な競争を維持する法律や、消費者保護法のように不公正な取引から消費者を守るようなもの。免許制の事業領域など。
技術的環境
技術の進化やイノベーションを示すもの。
AI、IoT、メタバースなどの分野は目まぐるしい速さで革新されていますよね。
自然環境
気温や天候、天然資源、自然災害など。地球温暖化や天然資源の枯渇などの課題があります。
SDGs(持続可能な開発目標)のような活動に注目が集まっていますが、これによって企業活動も大きく影響を受けています。
社会的・文化的環境
こちらは、社会、文化、価値観に関連した要因を示します。
ライフスタイルや働き方に対する価値観は多様化していますよね。多様化が進むと思いもよらぬところで需要が発生してきたりします。
いま、ミレニアルZ世代なんていう言葉もよく聞くようになりました。団塊の世代とミレニアル世代、これらの世代間でも大きく価値観が異なります。
●5つの競争要因
ミクロ環境には、顧客、競合他社、供給業者などが存在します。このミクロ環境に存在する事業者はこの影響を受けますね。ハーバード大学のマイケル・ポーター教授は、全体の収益性を左右するものとして5つの競争要因を提唱しています。
5つの競争要因
- 業界内の競争
- 新規参入の脅威
- 売り手の交渉力
- 買い手の交渉力
- 代替品
です。
業界内の競争要因
競争が激しくなることで収益性は低下してしまいます。これは、いわゆるコモディティ化が進むと激化します。この1つの特徴として、業界内の上位に競合が集中している場合は競争が緩やかですが、そうでなく多数の競合が横並びになっている場合は競争が激しくなります。
新規参入の脅威
新規参入しやすい業界は参入事業者が増えることで競争が激しくなります。参入のしやすさは、参入障壁によって左右されます。
参入障壁の例としては
- 初期投資の大きさ
- 特許や独自の技術
- 流通チャネルの閉鎖性
- 政府の規制
などがあります。
続いて移動障壁です。これは、ある事業体が参入した業界から別の業界への移動が困難になるということです。インフラや流通チャネルが異なる場合、大きな投資が必要であるなどで身動きが取れなくなるような例です。
売り手・買い手の交渉力
売り手(サプライヤー)が強くなると高く買う必要がでてきますし、買い手が強くなると安く売る必要がでてきます。
代替品の脅威
Phoneの方なスマートフォンが典型ですが、これはカーナビ、カメラ、地図、書籍といった様々な製品の代替えとなりました。代替品の方が安い、性能が高い、利便性が良いといった状態では、既存の製品は価格を下げる必要がでてきて、代替え側との同じ価格設定は難しくなります。
結果として、既存製品を提供している事業者は利益を圧迫されることになります。
いままでの協業パートナーが競合になりえますし、技術のイノベーションによって革新的な製品が登場して、突然競合が出現することも。
今の時代はVUCAの時代とも呼ばれ不確実性が増しています。
幅広くアンテナを張り巡らせて、動向をウォッチしながら柔軟な自身の変化が求められます。