大手の企業は、多くの事業、プロダクトを抱えています。
数ある事業に対して、経営資源(人材、資金など)を最適に配分する仕組みが必要となります。
製品間や事業間の最適な経営資源配分を検討するにあたって、よく知られているのが「製品ポートフォリオ管理」です。
どの製品や事業にどのくらいの経営資源を配分するのか、どのくらいの額を投資するのか、あるいは撤退するなどの決定が必要になります。
規模の経済性や経験効果の記事で触れましたが、市場シェアの大きさはプロダクトのコストに大きな影響を与えます。
市場シェアが大きければ、プロダクトあたりのコストを下げることができ、他社と価格が同じである場合は、市場シェアトップ企業は競合他社よりも多くの利益を獲得できる事になります。
事業に必要な資金や、得られる利益は市場シェアと市場成長率によって考えることができます。
縦軸は、市場の成長率を示し年間の市場成長率になります。また成長率が高ければ資金の流出量が増加します。市場の成長に合わせて設備投資や流通への投資が必要になるためです。
一方、市場の成長率が低下すると資金の流出量が減少します。
横軸の相対シェアは、最大シェアを誇る企業のシェアに対する自社シェアの割合です。
ポイントは、この4つのエリアのどこにプロダクトや事業が属するかによって資金の流出量が異なる点です。
金のなる木
相対市場シェアは高く、市場成長率が低い位置です。
市場の成長が落ち着いてくると、他社参入の脅威は減少し、対抗処置的な投資コストも減少する。
資金の流入量が多くなり(流出は小さくなる)、ここに位置する事業は利益の回収ステージとも言えます。
金のなる木で生み出された利益は、資金が必要となる他の事業へ活用することもできる。
花形
相対市場シェアは高く、市場成長率も高い。成長率の高い市場は魅力的なため、多くの企業が参入してくるという脅威にさらされるため、他社に対抗するために多額の資金が必要になる位置です。
成長市場のため売上(利益)も伸長するが、出費も大きい。この位置づけにある事業は、市場が成熟してくることによって「金のなる木」となり多額の利益を生み出せる。
問題児
ここに位置する事業は、市場シェアが低いが市場成長率が高いため資金の流出が多くなる。
よって、収益性は低いにも関わらず出費が多い位置づけ。
この問題児は、資金を投じて「金のなる木」となるべく市場シェアを拡大するか、撤退の選択が必要になります。
負け犬
この位置は、シェアも低く市場成長率も低い領域でのビジネス。
この市場は大きく成長する可能性は低く、投資の価値がありません。
よって、積極的な投資も行われず、市場の縮小に合わせて撤退が迫られる。