製品ポートフォリオ(PPM)

製品ポートフォリオ

製品間や事業間の最適な経営資源の配分を検討する方法「製品ポートフォリオ管理(PPM:Product Portfolio Management)」

企業は複数の事業を組み合わせて、最大かつ安定した収益を上げるべきかを検討する必要があり、どの製品や事業について、どれだけの投資を行っていくのか、あるいは撤退するのかを決定しなければならない。

製品ポートフォリオ管理は、この意思決定を行うために用いられた手法となります。

市場のシェアが高まると、規模の経済性や経験効果が効き、製品コストが低減する。他社と価格が同じであればシェアが大きいほど利益を獲得することができるが、逆に小さな市場シェアの場合は得られる利益は小さい。

製品ポートフォリオ管理の枠組みでは、これらを踏まえて「市場の成長率」「相対市場シェア」の軸を使って企業が保有している事業を「金のなる木」「花形」「問題児」「負け犬」で評価する。

花形、問題児、金のなる木、負け犬

縦軸の「市場の成長率」は、市場全体の年間成長率を示し、資金の流出量を表します。
市場の成長率が高いということは、どの会社にとっても魅力的な市場となるため、必然的に競争が激しくなる。これによって、市場の成長に合わせて設備投資などが必要になることから、資金の流出が多くなる。

横軸の相対市場シェアは、最大の市場シェアに対する自社のシェアの比率となる。相対市場シェアは資金の流入量を表す。
市場シェアの拡大に伴って、規模の経済性や経験効果によって製品コストが低減することで資金の流入が増加する。

目次

金のなる木

金のなる木は相対市場シェアが高く(資金流入量が多い)、資金流出量が少ないため、多額の資金を生み出す。

市場の成長率が落ち着いてくると、他社からの参入が控えられ、競合他社に勝つための投資コストも減少する。
ここに位置する事業は、利益を回収する時期に入っており、企業にとって大きな収入源となります。
金のなる木で獲得した利益は、資金が不足する他の事業にも活用できる。

花形

花形は、相対市場シェアが高いが(資金流入量が多い)、市場の成長率が高いため資金の流出量も多い。

市場の成長率が高いということは競合他社にとっても魅力的なため、多くの企業が参入してくる。そのため競争が激しくなり競争に打ち勝つために多額の投資が必要になる。よって、資金の流出量が拡大する。

ここに位置する事業は投資するための資金が常に必要で、やがて市場成長率が落ち着いてくることによって金のなる木となり資金供給源となる。

問題児

問題児は市場シェアが低いにも関わらず、市場成長率が高いため資金の流出量が多い。よって、資金のバランスが悪い事業。

この事業に対する対策としては、

  • 多額の投資を行って市場シェアを拡大する。
  • 存続が難しいと判断して撤退する。


市場成長率の高い市場に参入する企業は「問題児」に該当する多くの事業を抱えているのも珍しくない。
ここに位置する事業は、追加の投資を行って「花形」へ向かうのか、「負け犬」となるかの分かれ道。

負け犬

負け犬は、市場シェアが小さく(資金の流入量が少ない)、市場成長率も低い。
市場が成長していく可能性は低く、新たな投資も難しい。売上の伸びが期待できないにも関わらず事業を続けていくのは企業にとってリスクであり損失を与えることにもなるため、撤退を検討しなければならない。

一般的に、事業を長期的に成功させるためには問題児→花形→金のなる木のプロセスをたどる。
成長性の高い市場に参入し、競争に打ち勝ち、市場が成熟化した際に、多くの資金を回収する。

一般的に、事業を長期的に成功させるためには問題児→花形→金のなる木のプロセスをたどる。

この製品ポートフォリオの枠組みでは、新規事業を事前に評価したりその展開を考えることには適さない。また、経営資源を資金の配分で考えられているため、経験の蓄積やシナジー効果については考慮されない点は注意したい。

製品ポートフォリオ管理を導入することで、適切な資金を維持しつつ成長性の高い事業においては資金を投入、そうでない事業には資金を抑えるといったトータルにバランスをとることができる。

金のなる木で資金を獲得しながら、問題児や花形に適切な投資を続けることで将来の金のなる木を育てていく。

この製品ポートフォリオは、半年、年のスパンで定期的に見直し、アップデートしたい。

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