BtoB企業は何からマーケティングを取り組むべきか

はじめてのデジタルマーケティング
目次

BtoB事業者に必要となったマーケテイング機能

「マーケティング」といって、何を思い浮かべるでしょうか。広告、SNS、宣伝といったものを思い浮かべる方も多いと思います。

BtoB事業者にとってのマーケティングは、営業プロセスを分解して新規顧客開拓フェーズをマーケティングで担うものとしております。

BtoB事業者がマーケティングに取り組むべき2つの理由

1.フィールドセールスはすべき事が多すぎる

フィールドセールスは、下記の営業プロセス全体をすべてこなさなければなりません。

  • 新規顧客開拓
  • 新規案件の発掘とドライブ
  • 新規案件のクロージング
  • 既存顧客のフォローアップ
  • 既存顧客へのアップセル&クロスセル
  • 休眠顧客の掘り起こし

現在の営業プロセスのトレンドとしては、それぞれのパートを分業化し、専門性を高めて役割を最適化することで、結果的に営業プロセスの全体効率を高めるといった方向性です。「マーケティング」は、この新規顧客開拓を担うものとして企業が取り組み始めています。

2.顧客の購買プロセスがデジタル化している

新しい BtoBビジネス の展望: BtoBバイヤーとつながるためのガイド はアメリカのデータですが、69%の情報収集・調査はオンラインで行われています。では国内はと言いますと、衝撃のデータ ベンダーにコンタクトする前にリサーチを完了 77%の通り、77%がデジタルでリサーチを完了させてしまいます。いずれも約70%の見込み顧客がデジタルで情報収集を行い、購買すべき商品の選定を終えてしまう時代です。

つまり、昭和型営業 勘、経験、度胸、足のフィールドセールスでは、この70%の顧客との商談すら生むことができなくなるという現実があり、このり30%程度の顧客がフィールドセールスの対象ということになります。

この新規顧客開拓を顧客の購買行動にそって、企業側もデジタルに居る顧客にアプローチしない限り、新規顧客の開拓は困難になりつつあるという時代であることから、デジタルでマーケティングするデジタルマーケティングの必要性が高まっているのです。

BtoBの購買行動の特徴を意識する必要がある

  • 金額(単価)の大きさ
  • 購買関与者が複数・多層
  • リードタイムの長さ

金額(単価)大きさ

消費者(toC)とくらべてBtoB商材は圧倒的に金額が大きくなります。その分商品選定は、合理的な判断によって慎重に選択が行われます。

購買関与者が複数・多層

多くの場合商品・サービスを利用する担当者が商品をベンチマークして商品を選定し、それを上申して購買に繋がります。組織が大きい、金額が大きい場合は、更に上役に対する説明、調達部門を経由するなどBtoBの購買プロセスは複数人が関与し、それは多層になります。決して決済者に対してのみアプローチするのではなく、実際に利用する担当者にも十分に情報を提供し、ファンになっていただく必要があります。

リードタイムの長さ

企業の商品購買は金額に対する効果を合理的に判断して決定されます。金額が大きい場合は予算組みが必要な場合もあります。商談化してすぐに受注するとは限らず、顧客の購買プロセスが開始された時点で、候補に選定されている事が重要です。

BtoBの購買プロセス

BtoB企業の購買プロセス

課題

顧客企業は何かの現状課題を解決・克服・改善するために商品を求めています。その課題を感じている層は顕在層とも言われます。その現状から、理想の状態へお連れするのが貴社の商品です。

情報収集

課題を解決するために顧客企業の担当者はインターネットを活用して商品を探します。この割合は前途の通り77%といった割合でデジタルチャネルに依存しています。もちろんデジタルだけではなく、リアルの従来通りの施策も重要で、考え方としては、リアル活動+デジタル活動といった考え方になります。

候補選定・ベンチマーク

顧客企業担当者は、ウェブサイトなどの情報を参考に、課題解決の可能性のある商品の選定をいくつかピックアップし、機能比較(ベンチマーク)を行います。この際、ウェブサイトに十分な情報提供が行われていない場合、ベンチマークのマトリクスに空欄が増えることになり、最終選定に残る可能性が低下します。

BtoB商品の場合、その規模、複雑さ、専門性によって、ウェブサイトに掲載できる情報の限度はありますが、少なくとも顧客が初期情報収集段階で必要な情報量を提供する必要がでてきます。

このタイミングで、貴社商品に課題解決の可能性があると認められた場合はウェブサイトへのアクセスが集まることになります。マーケティングオートメーションツール(MAツール)が導入されている場合は、このタイミングを検知することができるので、セールス側が動き出すタイミングを把握できます。ポイントは、適切なタイミングで、適切なコンテンツを、適切な方へ。ですので、このタイミングをもってセールス側が積極的に対象顧客に能動的にアプローチする事が大切です。

稟議

具体的に商品の購入に向けて顧客企業の稟議が開始されます。この時点では購入する商品の選定は終えている段階ですので、それ以前に貴社セールスがアプローチしていないと手遅れとなります。

購買

複数のステークホルダーが合理的に商品の購買を承認し、購買に至ります。

BtoB企業

BtoB企業はデジタルにいる顧客に対して何をすべきか

BtoB企業のマーケティングは、どのような打ち手(施策)が用いられるのでしょうか。

下図では、顧客企業の購買プロセスに加えて、貴社商品を認知していないステージから有望顧客となるまでのファネル、対する施策の一部を記載しています。

顧客との接点は、リアル、オンライン共に存在し、顧客の購買ステージ毎に適切なコンテンツを適切なチャネルでお届けるする設計が必要になります。

よく見受けられるケースとして、企業サイト、商品サイトは立派に作成されており、お問い合わせをいただくのを待つという受け身のスタンスです。デジタルマーケティングでは、より能動的な動きが望ましく、MAツール等によって有望顧客を見出した場合、貴社から積極的にアプローチする積極性が求められます。

購買プロセスと施策

何から手を付けていけばよいのか

社内の意識醸成

いざBtoB企業がマーケテイングに取り組むといっても社内に理解者が不在、文化が存在しないというケースは多いと思います。マーケティング活動は、ウエブサイトにアクセスを集めてお問い合わせをいただく。といった部分的なプロセスではなく、リアルとオンラインの顧客接点から能動的に見込み顧客とコミュニケーションを行い、有望顧客を発掘して、営業にトスアップし商談からのクロージングへといった一連のプロセスになります。

最終的には、マーケティング機能とセールス機能をそれぞれ分業した組織体系になっていくことが理想ですが、まずはそこに至る前段階では、どうしてもセールス員の一部、営業企画といった人員が担う事になるでしょう。すくなくとも、1部門の1役割で済むお話ではないため、営業責任者そして経営層にも活動について理解を得る必要があるでしょう。

ボトムアップだけではマーケティング機能は成功しませんし、担当者が疲弊するだけになってしまいます。

経営層の理解を得た上で、お墨付きをもらった上で活動することで、必ず必要になる部門間連携にかかわる調整コストを削減できるようになります。

環境分析

複数商品を保有する企業においても、すべての商品に対してマーケティング活動が行われるわけではありません。特定の(デジタル)マーケティング対象にふさわしい商品を選定し、まずはその商品に対するマーケティングを小さく初めて成功体験を得ることが大切になります。

対象商品を関係者が理解し、とりまくマクロ環境、業界環境や競合なども把握、分析して置かれている現状を可視化していきましょう。

環境整備

なによりマーケティングを進めていく上での体制が必要です。BtoBといえども多くの施策が考えられ、全ての施策を一度に質高く行おうとするのは困難を極めます。外部のコンサルティング会社の支援を仰いで立ち上げる事がベターではありますが、いずれにしましても貴社内に必ず設けていただきたいポジションは「マーケティングディレクター」です。

デジタルチャネルの施策を横断的に俯瞰してマネジメントし、発掘した有望見込み客の質の面を営業部門とコミュニケーションしながら、お互いの活動の生産性を上げていく方です。兼務ではほぼ無理でしょう。

その他施策面では、当面行うであろう施策について社内で対応するのか、協力会社の力を仰ぐのか。一定の目処立てが必要でしょう。

人的リソース面もさることながら、マーケティング活動は実行した施策に対して実施効果を見て課題を見出して改善していくPDCAサイクルが必要です。そのためのデータを取得するツールやITプラットフォームの検討も必要です。

現在、どのようなツールが社内に導入されているのか。その管理者は。利用可能な部門は。といった観点からマーケティング活動側がそのツールをどの程度利用できるのか、また不足しているツールは何なのか、今後導入すべきツールは何なのか。といったITの側面からの棚卸しを行います。

戦略立案

マーケティング戦略が示すものは、「誰に」「何を」「どのように」です。

選定したマーケティング対象となる商品の顧客とは誰なのか。顧客理解を深める必要があります。また、その商品の特長や顧客の購買プロセスを見える化しながら、関係者で顧客の解像度を高めていきます。

現状分析

考えられるマーケティング施策を全て実施できる事が理想ではありますが、それでは社内のリソースも予算もいくらあっても足りません。まず立ち上げ当初は、ウェブサイトに訪問している客数→実名化している件数(保有顧客数)→アクティブな顧客数といったフェーズで現状を見える化し、ボトルネックとなっている壁を乗り越える施策に集中したほうが望ましいです。

商品の認知が不足している、ウェブサイトのアクセスが不足しているのか。その後、ウェブサイトから取得できる名刺情報およびハウスリストの件数が不足してるのか、有望顧客が不足しているのかによって、案件獲得の流れ(パイプライン)で目詰まりしている箇所を見つけ、そこを修正することで流れを良くしていきます。

パイプラインのステージと目詰まり

実行計画

今後のマーケティング活動の計画を立てます。6ヶ月程度のスパンで、月々に実施していくマーケティング施策の計画を立案していきます。項目としては、ウェブサイトの改修計画、MAツール等によるメールの発信、お役立ち情報のリリース日、資料ダウンロードの設置タイミング等を時系列で明記していきます。

この施策の総合関係を維持しないと施策の効果は高まらず、結果として個別最適になってしまいます。

あくまでBoB企業におけるマーケティング活動のゴールは有望顧客の発掘数です。

取り掛かりやすいマーケティング施策

展示会

展示会に出展されている企業であれば、このタイミングが取り掛かりやすいと思います。

展示会出展効果を最大化するために、デジタルを使ってより認知と集客を促すことができ、展示会用に作成したコンテンツはウェブサイト等で二次利用していきます。作成したコンテンツは使い倒すがことが鉄則になります。具体的には特設サイトを作成し、出展する製品の情報を掲載し、展示化概要をお伝えします。

メールによって既存顧客に出展を知らせ、事前登録を促します。事後は、必ず来場お礼メールを送信すると共に、特設サイトには展示会によって作成したセミナー動画や説明コンテンツ、現地ブースでの盛況ぶりをお伝えする記事を掲載するのも良いでしょう。

ウェビナー

展示会よりも実施しやすいウエブセミナー(ウェビナー)です。zoomなどで気軽に配信できますが、企業が実施するウェビナーでは、参加者通しが相手に見えない会議タイプではなくウェビナータイプの配信の仕組みで運用されるのが望ましいでしょう。

展示会同様に事前の認知集客に広告やメールなどを活用すると共に、事後メール等で当日の資料配布を行っていきます。

資料ダウンロードフォーム

ウェブサイトから新規見込み顧客の名刺情報を入手するための施策です。MAツールが導入された後に設置するのが望ましい施策です。ウェブサイトに訪れてくる方がお問い合わせを行うには、高い障壁があります。純粋に情報収集している方がお問い合わせすることはなく、情報を入手するためにフォームに名刺情報を入力いただき、お役立ち情報を提供することによって双方でWinWinの関係性が保たれます。 貴社側には新たに新規の見込み顧客情報が入手できますので、今後のメールの宛先に含めていくことで、送信母数をアップさせていけます。

いずれも施策も有効化させるためにはMAツールが必要です。繰り返しになりますが、BtoB企業におけるマーケティング活動のゴールは有望顧客の創出です。

各施策によって顧客の興味を把握し、その度合いを見極めることによって有望顧客を発見していきます。

まとめ

本記事は、まだデジタルマーケティングを行っていないが、行う必要を感じていているという高い志を持たれている方に対して書いていてみました。

全体を通して、
マーケティングは、BtoB企業においてデジタルシフトした社会では必須の営業プロセス
顧客中心のマーケティング施策を実施するにあたり、顧客理解を深めチーム員でそれを共有する
マーケティング施策は初めから欲張らず、小さな施策によって成功体験を得ることがまずは大事
現状の顧客状況をパイプラインステージの視点から把握し、目詰まりしているポイントを改善することで流れを良くしていく
といった点を述べさせていただきました。

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