ハーバード・ビジネス・レビュー(2022 年 9 月 20 日公開)で、BtoBビジネスに関して興味深いデータがありましたので紹介します。
調査から浮かび上がった3つのテーマ
Day One List
86%の購買者は購買検討に入る時点で、既に存在しているベンダーリスト(調達先候補)を保有している
92%の購買者は、この調達先候補リストから購買している
オンラインでの購買者との接触
69%の情報収集・調査はオンラインで行われている(以前にも増してデジタルを志向)
56%の購買者は、情報収集・調査に最低でも毎週オンラインを活用している
多数の購買関係者全員とのつながり
17名もの利害関係者が購買プロセスに関与(IT、マーケ、戦略、調達等)
40のタッチポイントがそれぞれの利害関係者との間に存在
670回以上、購買プロセスに影響を与える機会がある
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この記事でのポイント
- 買い手の 約90% が、購買プロセスの開始時点で自身で認識している企業・ブランドからベンダーを選定していること
- 購買プロセスにおいて、買い手側企業内での関与する人数を過小評価していること
- 売り手は、買い手の決裁者ばかりに気を取られ、担当者が社内に与える影響を軽視している
- プロダクトのデモンストレーションおよびトライアルがどれだけ購買に影響を与えているかを把握していないこと
- デジタルチャネルに頼りすぎ、リアルでの販売活動をおざなりにしていること
Google は Bain と提携した ソフトウェア、クラウド ホスティング、ハードウェア、電気通信、ロジスティクス、マーケティング、および産業機器の購入に携わる米国企業の 1,208 人を調査し、10 人のバイヤーに広範なインタビューを実施して、購買プロセスにおけるカスタマージャーニーの各段階での彼らの習慣を調査。
その結果、3 つの重要なテーマが浮かび上がっています。
- 購買検討に入る時点で、既に保有している調達先候補リストを保有
- 買い手は日頃からオンラインで情報を収集している
- 購買プロセスにおける買い手側の関係者は多く、それぞれ影響を与える情報源(タッチポイント)が存在する
調査対象者によれば、BtoB取引における買い手の 80%~90% がベンダーリスト(調達先候補リスト)を持っており、90% がそのリストから購入先を選定している。
とはいえ、ほとんどの買い手はさらなる調査を行い、調達先企業を少なくとも 1社をベンチマーク対象に追加します。
購買における重要な4つのポイント
記事では買い手側の購買に影響をあたえる4つのポイントを紹介しています。
- 稟議を上げる担当者との関係性
- 売り手側のウェブサイトのデザイン、操作性、情報量
- 売り手企業が発信する情報だけでなく、第三者が発信した情報を参考にする
- 購買最終段階での、デモンストレーションやトライアルが重要
稟議を上げる担当者との関係性
担当者は取引していたベンダーとの評価を転職先においても自社に推奨します。つまり、担当者との良好な関係はその担当者が所属する企業においても影響を与えることから、いつ何時どのような企業との接点が発生するか分からず、とても重要。また、調達担当はその担当者からの推薦を頼りにしており、商品選定に大きな影響を与える。
売り手側のウェブサイトのデザイン、操作性、情報量
商品選定時において買い手はベンダーのウェブサイトを参照するが、その時点でその企業のウェブサイトがチープであった場合選定候補から除外してしまう。
商品情報や納期、金額に対する情報が十分に得られること、また操作性が良好であること。選定において、つまり商品に関する十分な情報が得られない場合はその時点で失注ということになる。
売り手企業が発信する情報だけでなく、第三者が発信した情報を参考にする
購買側は、まだ深くしらない商品の事を様々なデジタルチャネルから調査。ベンダーのウェブサイトはもちろんの事、業界の出版物、Gartner などの業界のインフルエンサー、およびレビュー Web サイトなど。これらの優先順位は業界によって異なるが、例えばIT業界の商品の場合はウェビナーが重んじられる。顧客によってカスタマイズが求められる商品はウェビナーには不向き。
購買最終段階での、デモンストレーションやトライアルが重要
デモンストレーションとトライアルは、契約の成否を左右する可能性がある。
デモンストレーションやトライアルは、検討段階で購買側が最も広く使用する情報源の 1 つであるため、多少のリスクがあってもデモやトライアルに投資を行う。回答者の約 72% は、最終的に選択したベンダーがデモやトライアルで他のベンダーよりも優れていたと述べている。
補足として、購買側は対象製品の今後のロードマップ(今後の展開の方向性や成長性)などの製品ビジョンも商品選定においては注視するポイントとも伝えています。
買い手側の関与者
B2Bにおける買い手は、その意思決定において、様々な役割を持つメンバーで購買プロセスを進める。決定を担う最終承認者。調査を行い、プロセスを実行する中心的なメンバー。ベンダーや製品に関するコメントを提供する、実際に使用する担当者を含む社内で稟議を上げる担当者など。
購買の稟議プロセスにおいて、ぞれぞれの役割、確認する観点が異なることから適したコンテンツの提供が求められる。
- 財務的な視点からROI に焦点を当てたケース スタディ
- プロダクト マネージャー向けの製品機能のケース スタディなど
さいごに
買い手が何に価値を置き、どのように情報を収集し、どのように購入を決定するのかを売り手企業が真に理解していない限り、販売活動は十分に機能しない。さらに、購入者の行動は近年変化しており、より多くの人々とより多くのデジタル タッチポイントが決定に影響を与えてる。買い手がどのように情報を収集するかを知ることは、企業が適切な買い手担当者(社内インフルエンサー)の信頼を獲得し、デモンストレーションを成功させ、アカウントを獲得して成長させる可能性を高めるのに役立つ。