市場シェアの拡大による効果 その1「供給面の効果」
市場シェアの拡大による供給面の効果は、市場の拡大によって書き2つのメカニズムが働くとされています。
- 規模の経済性
- 経験効果
規模の経済性
規模の経済性とは、事業規模が拡大するにつれ、プロダクトのの単価あたりのコストが低減するということ。
市場シェアが高ければ、競合他社よりも生産量が多くなるため、規模の経済性(プロダクト単位での単価低減)が活かせる。
工場がたまに稼働するのとフル稼働するのであれば、生産コストはフル稼働のほうが安価になりますよね。
ただ、生産量を上げていけば無限にコストが低減されるものでもない。どこかで臨界点に達してしまいます。
臨界点に達してしまったのであれば、生産拠点を分割したり、他社に製造を委託するなどの手段を取ることができるため、臨界点到達の懸念はシェア拡大(維持)することを断念することにはなりません。
①設備の大規模化
大規模な設備のほうが、小規模なそれに比べて生産効率は高くなります。
設備の大規模化による規模の経済性は、製造業に限ったお話ではありません。
たとえば、IT化による事務処理効率を大幅にアップすることでも効率は高まります。
②間接費の軽減
規模の経済性はプロモーションの領域にも影響を与えます。
製品を効率的に生産できるということは、広告費においてもプロダクト単位あたりに投じることができる費用が増すということです。
これは研究開発費にも同じことが言えます。
③調達コストの低下
企業は外部から原材料や設備を調達します。
この場合にもプロダクトの生産効率が高く、販売の規模が大きい方が仕入れ時の大量購入や大量輸送による割引を獲得できます。
以上のように、市場シェアの高い事業(企業)は、①設備の大規模化 ②間接費の軽減 ③調達コストの低下 を通じてプロダクトの単位あたりのコストを低減することができる。
市場シェアが高まるにつれ利益率も上昇するのは、これらの規模の経済性が働いているからです。
経験効果
経験効果はその経験を積み重ねることで作業を効率的に行うことができるようになるという効果。
これは経験を積み重ねることで作業を習熟させて、新しい工夫も生まれてくるから。
市場シェアが高いと、より多くのプロダクトを生産して販売するので多くの経験が得られる。
これら事業の経験は、累積生産量という指標で測定できる。
そして、累積生産量が倍増するごとにプロダクト単位あたりのコストが低減します。
経済効果を生み出す4つの要因
①習熟を通じた能力の向上
特定の業務を繰り返し行うことで、経験値が上がり熟練度がアップ。
さらに継続することで効率的な作業方法が生み出されてくる。
②生産工程や生産設備の改善
繰り返し作業を行うことで、以前よりも効率的な作業工程や設備やツールを思いついたりします。
その設備やツールも更に効率的な使い方も見出すことができたりも。
③資源構成の変更
繰り返し作業を行う事で経験を積み重ねることができる。これによってよりコストの掛からない資源を取り入れることができる。生産工程や生産手法の理解が進むことで、より安価な材料に置き換えることが可能になってくる。
作業の習熟が進むことでそれが型となり、熟練者でなくともアルバイトにそれを委託できるようになったりもする。
④製品の設計変更
経験を積み重ねることで、プロダクトそもののの設計の見直しができるようになる。
プロダクトの理解が深まると、材料変更によるコスト低減などの設計変更により、更に効率的な生産が行える。
市場シェアの拡大による効果 その2「市場面の効果」
「規模の経済性」と「経験効果」は企業側の供給面からみた効果であることはお話しました。
このブロックでは、市場シェアの拡大による効果をお話します。
それは2つ
- 市場独占の効果
- マーケティング効果
市場独占の効果
市場シェアが拡大すると、競合他社の影響を受けにくくなるため、ある程度販売価格をコントロールすることができるようになる。もし独占市場といった状態になると最大の利益を得ることができるよう販売価格設定が容易になる。
また取引業者から有利な条件を引き出すこともできたりします。市場シェアが拡大するとこのような効果を期待することができる。
マーケティング効果
市場シェアが高まると顧客のブランド認知が高まる。
①認知効果
市場におけるブランドの認知を高める効果が期待できる。普段の生活にて、そのブランドにふれる機会、見る機会が増え自然と高い認知が得られる。
②評価効果
市場シェアの高いブランドは、自然と一番売れている。誰もが使っているといった評価が得られることになる。
③信用効果
市場シェアが高いブランドは顧客から高い信用が得られる。信用が高いので、顧客から選ばれ購買される確率が高まる。さらに、VOCも集まりやすい環境になるため、これからの製品開発などに役立てる情報資産が獲得できることによって競合他社よりも優位に立てる。