組織を検討するにあたって、3つの基本要件を考慮する必要があります。
- 分業
- 部門化
- 権限配分
1.分業について
組織を検討する際の基本要件の1つ目は、どの程度「分業」するかという点。
事業が大きくなるにつれ組織も大きくなると、分業して作業をしていくことになります。
1人の人がすべての作業工程をこなすのではなく、例えば設計、製造、テストといった形に分業してそれぞれのパートを専門化して専門性を高めていく。
ただこの分業、設計が終われば設計内容について製造側に引き渡す必要がでてくるし、製造はテストの仕様を伝えていくような必要性もあるかもしれない。
つまり分業を行うことで、調整のコストが生じてくる。
分業のメリットの3つ
①仕事が単純化される
すべての作業工程を一人でこなしていくには、それぞれの工程に精通するのに時間を要します。
製品の設計を行い、製造し、品質を担保するのは一人では事実上不可能ですが、それぞれに成熟するには膨大な時間を要することになります。
もちろん新入社員が入社しても、これらを行うのは不可能でしょう。
複雑な仕事であっても、分業することによって企業内での研修や教育も用意になっていく。
②仕事の専門性が高まる
分業を行えば、一人が特定のパートを受け持つことになり、作業を繰り返し行うことでその作業に成熟していきます。けっか、専門的な経験の蓄積が行われ、その専門性はコストダウンに繋がったり、品質が向上したりするなど様々なメリットが生み出せる。
③段取りコストが低減する
もし一人が設計→製造→テストの工程をすべてこなす場合、設計後は生産拠点に移動し作業服に着替え安全防具を装着し製造後はテストルームに移動し、クリーンルームに適した服装へ着替える。などといった、段取りを都度行う必要がなくなる。結果、時間が削減されコスト低減に結びつく。
2.部門化について
組織を検討する際の2つ目の要件 部門化。
組織の規模が大きくなると部門という単位で組織設計をする必要がでてくる。
組織が小さい時であれば良いが、ある程度の規模感になると調整コストが膨大になっていく。
そこで、関連性の強い業務を結びつけ部門化することでメリットが生まれてくる。
- 関連業務が集まりその部門内で調整密度がアップする。
- 部門間の連携は、各部門長に委ねることができる。
3.権限配分について
組織を検討する要件の3つめは権限配分。
部門長の役目は部門代表として他の部門との調整を行うだけではない。もちろんその部門内を調整する役割のほうが大きい。
よって、部門長には調整の権限を与える必要が重要になる。
組織の分業には、作業レベルの分業 と 意思決定レベルの分業があり、調整の権限は意思決定レベルの分業にあたる。
作業レベルの分業
設計→製造→テストといった作業レベル
意思決定レベルの分業
係→課→部→事業部→本社
意思決定レベルの分業には、「集権化」と「分権化」があります。
集権化は意思決定を組織の上の階層に集中させることで、分権化は意思決定権限を下の階層に委ねる。
組織検討にあたって、このバランスをどう取るかが問われます。
集権化された組織は、トップダウンでの意思決定が行われるので、部門間の調整をきちんと行うことができる。
分権化された組織は、現場に近い層に権限委譲されているので、スピーディーな意思決定を行うことができるため、市場は技術の変化にすばやく対応できます。
分権化が適しているのはまさに今のVUCAと呼ばれる時代にはフィットする組織ではないでしょうか。